5G
読み: ファイブジー
5G は、4G LTE の後継となる第 5 世代移動通信システムです。性能の目安としてよく挙げられる 20Gbps / 1ms / 100 万台/km² という数字は、ITU-R 勧告 M.2410 (2017 年 11 月) が IMT-2020 の最小技術性能要件として定めた評価用の値です。20Gbps は下りのピークデータレート、1ms は超高信頼低遅延通信 (URLLC) を想定した遅延、100 万台/km² は多数同時接続 (mMTC) を想定した接続密度で、それぞれ別の利用シナリオごとに評価されます。1 台の端末が同時に 3 つを満たすという意味ではありません。同じ要件では、利用者が実際に体験する速度の目安として下り 100Mbps / 上り 50Mbps が別に定められており、20Gbps は理想条件下の上限値です。商用サービスは 2019 年 4 月に韓国が世界初の全国網を開始し、同じ日に米国の一部都市でも始まりました。日本の携帯 3 社が商用サービスを開始したのは 2020 年 3 月です。
5G が QR コードの体験に関わる最大のポイントは、スキャン後に開くコンテンツの質です。4G 環境では、QR コードをスキャンして動画や AR コンテンツを読み込むのに待ち時間が生じ、ユーザーの離脱を招く場面がありました。5G で帯域と遅延に余裕が生まれると、この待ち時間を短くする余地は広がります。ただし実際の待ち時間を決めるのは、電波環境 / 基地局の混雑 / 端末の処理性能 / 配信側の設計まで含めた全体です。規格上の要件値がそのまま体験になるわけではないため、QR コード側では、リンク先の軽量化や画像 / 動画の遅延読み込みといった設計面の作り込みが引き続き必要です。
大規模イベントでの活用も期待されています。スタジアムやコンサート会場で数万人が同時に QR コードをスキャンする場面では、4G 環境で「スキャンしたのにページが開かない」という問題が起きていました。5G では、基地局あたりの容量を増やす設計や、会場向けの臨時基地局 / ローカル 5G の併用によって、混雑を緩和する取り組みが進んでいます。なお前述の接続密度 100 万台/km² は多数同時接続を想定した要件値で、観客が高解像度コンテンツを一斉に取得する場面 (高速大容量 = eMBB) の混雑耐性を直接示す数値ではありません。
IoT との連携では、工場の機械に貼付された QR コードをスキャンして稼働データを表示する使い方が広がっています。ここで必要になるのは主に帯域と安定した接続で、稼働データのストリーミング表示そのものが超低遅延を前提とするわけではありません。5G の超低遅延 (URLLC) は 3GPP の Release 16 で機能が拡充されたもので、5G コアを用いる SA (スタンドアロン) 構成が前提です。4G のコア網に依存する NSA 構成では、要件どおりの遅延は成り立ちません。機械の制御そのものに低遅延を使う用途では、公衆網ではなくローカル 5G / プライベート 5G を敷設する形が典型です。