なぜ現金を使わない人が増えているのか - キャッシュレス社会のリアル
日本のキャッシュレス比率は 40% を突破した
経済産業省の統計によると、日本のキャッシュレス決済比率は 2023 年に約 40% に達しました。10 年前の 2013 年は約 15% だったので、10 年で 2.5 倍以上に増えたことになります。特に 2020 年のコロナ禍以降、「現金に触りたくない」という衛生意識の高まりが普及を加速させました。
ただし、世界と比べるとまだ低い水準です。韓国は約 95%、中国は約 83%、イギリスは約 65%。日本は先進国の中ではキャッシュレス後進国と言われています。その理由は、日本の現金インフラが優秀すぎることにあります。偽札がほぼ存在せず、ATM が全国に 20 万台以上あり、現金で困る場面が少ないのです。
キャッシュレスの 3 つのメリット
メリットの 1 つ目は「速さ」です。現金で支払うと、財布を出す、お札を数える、お釣りを受け取る、財布にしまう。この一連の動作に平均 15-20 秒かかります。スマホ決済なら 3-5 秒で完了します。コンビニのレジで後ろに行列ができているとき、この差は大きいです。
2 つ目は「記録」です。現金で支払うと、レシートを捨てた瞬間に「何にいくら使ったか」がわからなくなります。スマホ決済はすべての取引が自動的に記録されるため、月末に「今月いくら使ったか」を正確に把握できます。3 つ目は「ポイント還元」です。多くのキャッシュレス決済は 0.5-1.5% のポイント還元があり、年間の支出が 100 万円なら 5,000-15,000 円分のポイントが貯まります。現金にはこの特典がありません。
キャッシュレスの 3 つのデメリット
デメリットの 1 つ目は「使いすぎ」です。現金は財布の中身が物理的に減るため、「あといくら使える」が直感的にわかります。スマホ決済は数字が減るだけなので、お金を使っている実感が薄く、つい使いすぎてしまう人がいます。対策として、月の予算を決めてアプリの利用上限を設定することをおすすめします。
2 つ目は「災害時の脆弱性」です。停電や通信障害が発生すると、スマホ決済は使えなくなります。2018 年の北海道胆振東部地震では、大規模停電でキャッシュレス決済が全面的に使えなくなり、現金しか受け付けない状態が数日間続きました。3 つ目は「個人情報」です。いつ、どこで、何を買ったかがすべて記録されるため、プライバシーを気にする人にとっては抵抗があります。
中学生でもキャッシュレスは使える?
結論から言うと、使えます。ただし、方法は限られます。クレジットカードは 18 歳以上でないと作れませんが、プリペイド型の電子マネー (Suica、nanaco、WAON など) は年齢制限がありません。コンビニで現金をチャージして使う方式なので、使いすぎの心配も少ないです。
PayPay や LINE Pay などのスマホ決済アプリは、基本的に銀行口座やクレジットカードとの紐づけが必要なため、未成年が単独で利用するのは難しいです。ただし、保護者の同意のもとで利用できるサービスもあります。まずはプリペイド型の電子マネーから始めて、お金の管理に慣れてからスマホ決済に移行するのがおすすめです。
現金とキャッシュレスの「いいとこ取り」が正解
キャッシュレスが便利だからといって、現金を完全にやめる必要はありません。災害時の備えとして、財布に 1-2 万円の現金を入れておくことは重要です。また、個人経営の小さなお店や、お祭りの屋台など、現金しか使えない場所はまだたくさんあります。
理想的なのは、普段の買い物はキャッシュレスで効率よく済ませ、緊急時や現金のみの場所に備えて少額の現金を持ち歩く「ハイブリッド」スタイルです。どちらか一方に偏るのではなく、状況に応じて使い分ける柔軟さが大切です。技術は便利な道具であって、振り回されるものではありません。