お店のレジで「ピッ」とする正体 - キャッシュレス決済の仕組みをやさしく解説
「ピッ」の 1 秒間に起きていること
コンビニのレジでスマホをかざして「ピッ」と鳴る、あの 1 秒間。実はその裏側では、驚くほど多くの処理が行われています。スマホの画面に表示された模様をレジのスキャナーが読み取り、模様に含まれる支払い情報がレジのコンピュータに送られます。レジのコンピュータは決済サーバーに「この人の口座から 500 円引いていいですか?」と問い合わせ、サーバーが「OK」と返答し、レジに「決済完了」の信号が届く。これがすべて 1 秒以内に完了します。
この仕組みを支えているのが、白黒の模様を使った決済システムです。PayPay、楽天ペイ、d 払い、au PAY など、日本で使われている主要なスマホ決済のほとんどが、この模様を使っています。
2 つの支払い方式 - 見せる派と読み取る派
模様を使った決済には、大きく分けて 2 つの方式があります。1 つ目は「ストアスキャン方式」。お客さんのスマホに表示された模様を、お店のレジが読み取る方式です。コンビニやスーパーで「画面を見せてください」と言われるのがこれです。
2 つ目は「ユーザースキャン方式」。お店のレジに貼ってある模様を、お客さんのスマホで読み取る方式です。個人経営の飲食店や屋台でよく見かけます。お客さんが模様をスキャンすると、スマホに金額入力画面が表示され、金額を入力して「支払う」ボタンを押すと決済が完了します。
ストアスキャン方式はお店側にスキャナーが必要ですが、ユーザースキャン方式は模様を印刷して貼るだけなので、初期費用がほぼゼロです。これが、小さなお店でもスマホ決済を導入できる理由です。
お金はどこを通って移動するのか
「ピッ」とした瞬間、お金が直接お店に届くわけではありません。お金の流れはもう少し複雑です。まず、お客さんの決済アプリの残高 (またはクレジットカード) から決済会社 (PayPay、楽天など) に支払い金額が移動します。決済会社はそこから手数料 (通常 1.5-3.5%) を差し引いて、残りをお店の銀行口座に振り込みます。
振り込みのタイミングは決済会社によって異なりますが、多くの場合は翌日から数日後です。つまり、お客さんが「ピッ」とした瞬間にお店の口座にお金が入るわけではなく、決済会社が間に入って一時的にお金を預かっている状態です。この仕組みは、クレジットカードの決済と基本的に同じです。
なぜ現金より安全なのか
「スマホで支払うのは怖い」と感じる人もいるかもしれません。しかし、実は現金よりも安全な面があります。まず、スマホを落としても、ロック画面を突破しなければ決済アプリは使えません。現金を落としたら、拾った人がそのまま使えてしまいます。
次に、不正利用された場合の補償です。主要な決済サービスは、不正利用が確認された場合に全額補償する制度を設けています。現金が盗まれた場合、戻ってくることはほぼありません。さらに、すべての取引履歴がアプリに記録されるため、「いつ、どこで、いくら使ったか」を正確に把握できます。お小遣い帳をつけなくても、自動的に支出が記録されるのです。
世界の「ピッ」事情 - 日本と海外の違い
模様を使った決済が最も普及しているのは中国です。WeChat Pay と Alipay の 2 大サービスが生活のあらゆる場面に浸透しており、屋台の焼き芋からタクシー、病院の支払いまで、ほぼすべてがスマホ決済で完結します。現金を持ち歩かない人も珍しくありません。
一方、ヨーロッパやアメリカでは、模様よりも NFC (近距離無線通信) を使った「タッチ決済」が主流です。Apple Pay や Google Pay でスマホをかざす方式で、模様の表示やスキャンが不要です。日本は両方が混在している珍しい市場で、模様決済と NFC 決済の両方が使えるお店が増えています。どちらが便利かは好みの問題ですが、模様決済は古いスマホでも使えるという利点があります。