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ニセモノを見破れ - テクノロジーが偽造品と戦う最前線

偽造品の被害は年間 50 兆円を超える

OECD の推計によると、世界の偽造品・海賊版の取引額は年間約 5,000 億ドル (約 75 兆円) に達します。ブランドバッグ、時計、スニーカーだけでなく、医薬品、自動車部品、電子機器、食品まで、あらゆる製品が偽造の対象になっています。特に深刻なのは医薬品の偽造で、WHO によると発展途上国で流通する医薬品の約 10% が偽造品とされ、年間数十万人が偽造薬による健康被害を受けています。

偽造品は「安く買えてラッキー」という問題ではありません。偽造された自動車のブレーキパッドが原因で事故が起きる、偽造された充電器が発火する、偽造された薬に有効成分が入っていない。命に関わる問題です。

白黒の模様で「本物の証明書」を発行する

偽造品対策の最前線で活躍しているのが、製品ごとに固有の白黒模様を割り当てる技術です。工場で製品が完成するたびに、世界で 1 つだけの模様が生成され、製品に貼り付けられます。消費者がスマホでスキャンすると、メーカーのサーバーに問い合わせが行き、「この模様は正規品に割り当てられたものです」という認証結果が返ってきます。

偽造者が模様をコピーしても、同じ模様が 2 つ以上スキャンされた時点で「重複検知」が発動し、偽造品であることが判明します。最初にスキャンされた製品が正規品、2 回目以降は偽造品と判定されます。

ブロックチェーンとの組み合わせ

さらに強力な偽造防止を実現するのが、ブロックチェーン技術との組み合わせです。製品の製造日、工場、出荷先、流通経路をブロックチェーンに記録し、模様のスキャンをトリガーにしてこれらの情報を表示します。ブロックチェーンは記録の改ざんが極めて困難なため、偽造者が「この製品は正規品です」という偽の記録を作ることができません。

高級ワインの分野では、ボトルに貼られた模様をスキャンすると、ブドウの収穫日、醸造所、保管温度の履歴、流通経路がすべて表示されるサービスが実用化されています。消費者は購入前に「このワインが本物かどうか」を自分のスマホで確認できます。

DNA マーカーと不可視インクの最新技術

模様だけでは物理的にコピーされるリスクがあるため、さらに高度な技術も開発されています。DNA マーカーは、合成 DNA を含む特殊なインクで模様を印刷する技術です。模様自体は通常のものと見分けがつきませんが、専用の検査キットで DNA を検出することで真贋を判定します。DNA の配列は事実上無限のパターンがあるため、偽造は不可能に近いです。

不可視インク (赤外線インクや紫外線インク) で印刷された模様も、偽造防止に有効です。通常のカメラでは見えないため、偽造者は模様の存在自体に気づきません。正規の検査機器でのみ読み取れるため、セキュリティレベルが格段に上がります。

消費者にできること - 「スキャンして確認」の習慣

偽造品対策は企業やメーカーだけの問題ではありません。消費者も「スキャンして確認する」習慣を持つことで、偽造品の流通を減らすことができます。高額な商品を購入する際は、パッケージに模様が付いているか確認し、スキャンして認証結果を確認してください。

認証結果が「この製品は登録されていません」と表示された場合、偽造品の可能性があります。購入元に問い合わせるか、メーカーの公式サイトで確認してください。また、極端に安い価格で販売されている商品は偽造品のリスクが高いです。「安すぎる」と感じたら、それは正しい直感です。正規品には正規品の価格がある理由があります。