Qraft (クラフト)

QR コードを使うときに知っておくべき法的注意点

QR コード」は登録商標

「QR コード」はデンソーウェーブの登録商標です。ビジネス文書や Web サイトで「QR コード」という名称を使用する場合、厳密には「QR コードはデンソーウェーブの登録商標です」という注記を添えることが推奨されています。ただし、デンソーウェーブは QR コードの特許を無償で開放しており、 QR コードの生成・利用自体にライセンス料は発生しません。

商標権の行使は名称の使用に対するものであり、技術の利用を制限するものではありません。自社の製品名やサービス名に「QR」を含める場合は商標上の注意が必要ですが、「QR コードを読み取ってください」のような一般的な使用は問題ありません。

個人情報の取り扱い

QR コードのリンク先で個人情報を収集する場合、個人情報保護法 (2020 年改正・2022 年 4 月全面施行) に基づく適切な対応が必要です。具体的には、利用目的の明示、本人の同意取得、安全管理措置の実施が求められます。個人情報保護委員会によると、この 2020 年改正法 (2022 年 4 月 1 日全面施行) で、個人データの漏洩時に同委員会への報告と本人への通知が義務化されました。

QR コードを使ったアンケートやキャンペーンで氏名、メールアドレス、電話番号を収集する場合は、フォームにプライバシーポリシーへのリンクを設置し、データの利用目的を明記してください。

景品表示法と QR コード

QR コードを使ったキャンペーンやクーポン配布では、景品表示法 (不当景品類及び不当表示防止法) に注意が必要です。「QR コードを読み取ると必ず当たる」と表示しておきながら実際には当選確率が極めて低い場合、有利誤認表示に該当する可能性があります。

景品の上限額にも規制があります。一般懸賞の場合、取引価額が 5,000 円未満なら景品の最高額は取引価額の 20 倍まで、 5,000 円以上なら 10 万円までです。景品類の総額も、懸賞に係る取引の予定総額の 2% 以内に収める必要があります。 QR コードキャンペーンの設計時には、消費者庁のガイドラインを確認しておくことを推奨します。

くじや抽選で当選者を決める一般懸賞では、景品に次の限度額が定められています。

取引価額景品の最高額景品類の総額
5,000 円未満取引価額の 20 倍懸賞に係る取引の予定総額の 2%
5,000 円以上10 万円懸賞に係る取引の予定総額の 2%

これらの限度額は、消費者庁が所管する告示「懸賞による景品類の提供に関する事項の制限」で定められています。

不正利用への対策

公共の場に掲示された QR コードの上に偽の QR コードを貼り付け、フィッシングサイトへ誘導する手口 (QR フィッシング) が報告されています。店舗や自治体が QR コードを掲示する場合は、改ざん防止のためにステッカーの上から透明な保護フィルムを貼る、定期的に QR コードの動作を確認するなどの対策が有効。

企業が QR コードを配布する場合は、リンク先の URL に自社ドメインを使用し、短縮 URL サービスを経由しないことで、利用者が URL の正当性を確認しやすくなります。

リンク先の内容にも責任が及ぶ

QR コードを設置するとき、見落とされがちなのが、リンク先のページの内容にも責任が及ぶという点です。コードそのものは模様にすぎませんが、読み取った人が開くのは、自分が用意したページです。そこに不正確な情報や、誤解を招く表現があれば、コードを掲示した側が問われることになります。第三者の作ったページへ誘導する場合も、その内容を確認せずに案内すれば、トラブルの原因になりかねません。コードは入り口であり、その先に何があるかまで含めて責任を持つ姿勢が求められます。

貼り替えや改ざんへの備え

店頭やポスターに掲示した QR コードは、第三者によって別のコードに貼り替えられる危険があります。悪意のあるコードにすり替えられれば、利用者が不正なサイトへ誘導され、被害が生じるおそれがあります。掲示した側は、自分が設置したコードが正規のものかを定期的に確認し、不審な貼り替えがないか見回る配慮が必要です。コードの近くに正しい行き先を文字でも記しておけば、利用者が違いに気づきやすくなります。設置して終わりにせず、掲示後の状態にも目を配ることが、利用者を守ることにつながります。

著作権と QR コードのデザイン

QR コードの中央にロゴやイラストを配置するデザイン QR コードを作成する場合、使用する画像の著作権に注意が必要です。他社のロゴや著作物を無断で QR コードに埋め込むと、著作権侵害や商標権侵害に該当する可能性があります。

自社ロゴを使用する場合は問題ありませんが、フリー素材を使用する場合はライセンス条件を確認してください。商用利用不可の素材を商用の QR コードに使用するとライセンス違反になります。

QR コードの利用自体は自由ですが、周辺の法規制は意外と多岐にわたります。

企画を始める前に確認しておきたい点を、場面ごとに整理します。

法令・権利確認する場面求められる対応
商標権印刷物やサイトで「QR コード」という名称を使う登録商標である旨の注記を添える。生成・利用そのものは無償
個人情報保護法読み取り先で氏名やメールアドレスを集める利用目的の明示、本人の同意取得、安全管理措置。漏洩時は報告と通知
景品表示法クーポン配布や懸賞キャンペーンを行う当選条件を正確に表示し、景品の限度額を守る
著作権・商標権中央にロゴやイラストを入れたデザインにする自社の素材か、商用利用が許諾された素材かを確認