Qraft (クラフト)

AR グラス

読み: エーアールグラス

AR グラス (AR glasses) は、拡張現実 (Augmented Reality) の技術を組み込んだメガネ型のウェアラブル端末です。レンズ越しに見える現実の風景へ、テキストや画像、3D モデルといったデジタル情報を重ねることを狙います。ただし「メガネ型」と一括りにされる製品の中身は同じではなく、表示装置の持ち方で段階が分かれます。第 1 段階はレンズ内にディスプレイを持たず、カメラとスピーカー、音声アシスタントだけを載せた型です (メーカー自身が製品比較で「レンズ内ディスプレイなし」と示す Ray-Ban Meta が代表)。第 2 段階はレンズ内に小型ディスプレイを内蔵し、視界に情報を重ねられる型で、2025 年 9 月に米国で発売された Meta Ray-Ban Display は右レンズにフルカラー表示を内蔵しています。頭部を覆うゴーグル型で外向きカメラの映像に情報を合成する Apple Vision Pro は、メーカー自身が「空間コンピューター」と位置づけており、メガネ型とは別のカテゴリとして扱うのが正確です。

QR コードとの関連では、AR グラスが「次世代のスキャン端末」として注目されています。スマートフォンを取り出してカメラを向ける動作が要らなくなり、視界に入ったコードをそのまま読み取って結果を目の前に出せるからです。仕組みとしては 3 つの要素が必要になります。前方を撮るカメラ、切り出した画像からコードを解読する処理、そして読み取った位置に表示を留めておく空間アンカー (現実の座標に情報を固定する仕組み) です。視線の向きを追うアイトラッキングを併用すれば、視界に複数のコードがあってもユーザーが見ている 1 つだけを選んで開けます。倉庫の在庫確認、工場の作業指示、観光地の案内など、両手をふさげない場面との相性は良いといえます。

普及には課題が残ります。価格は、Apple Vision Pro の日本価格が 2026 年 8 月時点で 599,800 円から (約 60 万円) と高く、ディスプレイ非搭載の Ray-Ban Meta でも 7 万円台からです。連続使用時間は外付けバッテリー方式で 2〜3 時間程度、重量も Vision Pro は 600g 台で、長時間の装着には向きません。カメラ付きのメガネに対する社会的な抵抗感も残ります。さらに、ディスプレイ非搭載型では読み取った結果を視界に出せず、音声で伝えるしかありません。QR コードを設計する側は、当面はスマートフォンが主要な読み取り端末であり続ける前提を崩さず、AR グラスは追加の経路として考えるのが現実的です。