届くまでがわかる - 荷物の追跡番号はどうやって動いているのか
追跡番号の正体は「荷物の名前」
ネット通販で商品を注文すると、「追跡番号」が発行されます。この番号は、世界中の荷物の中からあなたの荷物を特定するための「名前」です。ヤマト運輸なら 12 桁、佐川急便なら 12 桁、日本郵便なら 11-13 桁の数字やアルファベットで構成されています。
この追跡番号は、荷物に貼られた伝票のバーコードや白黒の模様に格納されています。配送の各段階 (集荷、配送センター到着、仕分け、配達中、配達完了) でスキャンされるたびに、「この荷物は今ここにいます」という情報がサーバーに送信されます。あなたがスマホで追跡ページを見ると、このサーバーの情報が表示されるのです。
荷物が通る「見えないゲート」
配送センターには、ベルトコンベアの上を流れる荷物のバーコードを自動的に読み取るスキャナーが設置されています。荷物が通過するたびに「ピッ」とスキャンされ、通過時刻と場所がサーバーに記録されます。大規模な配送センターでは荷物がベルトコンベアの上を絶え間なく流れていくため、人の手で 1 つずつ読み取っていては仕分けの流れが止まってしまいます。
白黒の模様をカメラで読み取る方式を採用する配送センターも増えています。バーコードは 1 方向からしか読み取れませんが、白黒の模様はどの角度からでも読み取れるため、ベルトコンベア上で荷物がどの向きになっていても確実にスキャンできます。読み取りエラーが減り、処理速度が向上します。
「配達中」から「配達完了」までの最後の 1 マイル
配送センターから自宅までの区間を「ラストマイル」と呼びます。配達員がトラックに荷物を積み込む際にスキャンし、「配達中」のステータスに更新されます。自宅に届けて受領印をもらう (または置き配の写真を撮る) と、「配達完了」に更新されます。
配達員の位置情報を地図の上に表示するサービスもあります。フードデリバリーのアプリで、配達員の現在地が地図の上を動いていくのを見たことがある人も多いでしょう。宅配便でも同じ考え方で「あと何分で届くか」を示す取り組みがあり、こちらは荷物の伝票ではなく、配達員が持つ端末が一定の間隔で位置を送ることで成り立っています。
国際配送の追跡 - 国境を越える荷物
海外から届く荷物の追跡は、国内配送よりも複雑です。荷物は複数の配送会社を経由するため、追跡番号が途中で変わることがあります。たとえば、アメリカの Amazon で注文した商品は、UPS がアメリカ国内を運び、日本に届いた後は日本郵便やヤマト運輸が引き継ぎます。
この引き継ぎの際に追跡情報が途切れることがあり、「荷物が消えた!」と焦る人もいます。実際には、税関での検査中や、配送会社間の引き継ぎ待ちで一時的に追跡が更新されないだけです。会社間の引き継ぎ待ちと通関の手続きが重なる区間では、次に読み取られるまで表示が変わらない時間がまとまって生じます。
「荷物受付」から「配達完了」までの遷移を追う
追跡ページの表示は、荷物が節目を通るたびに書き換わります。使われる言葉は配送会社ごとに違いますが、国内の宅配便ならおおむね「荷物受付」から「発送」、途中の「中継」を経て「配達店に到着」、そして「持ち出し中」から「配達完了」へと進みます。荷物受付は集荷や店頭での受け付け、発送は最初の営業所を出た時点、中継は途中の配送センターを通った時点、配達店に到着はあなたの住所を担当する営業所まで届いた時点を指します。
それぞれの表示の裏側では、伝票が読み取られた場所と時刻が 1 件ずつ積み上がっています。「配達店に到着」の横に出る地名は、その営業所でこの荷物が読み取られたことを表しています。「持ち出し中」に変わったら、担当の配達員がトラックへの積み込みを終えたところで、ここから先がその日のうちに届く区間です。留守で持ち帰られた場合は「持戻り」のような表示がいったん挟まり、翌日にまた「持ち出し中」から進み直します。
表示が止まって見える時間の読み方
遷移の途中で、半日ほど表示が動かないことがあります。これは追跡が壊れているのではなく、記録が節目でしか作られないからです。夜のうちに長い距離を走る幹線の便では、出発した営業所で読み取られてから次の配送センターに着くまで、読み取る機会そのものがありません。区間が長ければ表示はそのままで、到着して読み取られた瞬間に一段先へ進みます。
この仕組みから、追跡番号でわかる範囲もはっきりします。わかるのは「どの節目を、いつ通ったか」で、わからないのは「今どこを走っているか」です。到着予定の時刻も、同じ区間に過去どれくらいかかったかから見積もった目安であり、約束された時刻ではありません。表示が動かないまま時間が過ぎたときは、直前の節目がどこだったかを見て、次の節目までの距離を思い浮かべると、もう少し待つのか問い合わせるのかの判断がつきます。
節目の間を埋める技術
節目と節目の間を埋める方法として、荷物そのものに位置を知らせてもらう仕組みがあります。GPS で位置を測る小型の端末を荷物に取り付け、一定の間隔で通信させれば、読み取りを待たずに移動の跡が残ります。ただし端末の代金と電池、通信の費用が荷物 1 個ごとに乗るため、日用品の宅配便に付けるには釣り合いません。
そのため実際に使われているのは、医薬品や精密機器のように 1 個あたりの値段が高い貨物です。温度を測るセンサーを組み合わせれば、冷蔵の品が決められた温度の範囲で運ばれたかどうかも記録できます。端末が安くなるほど対象は広がりますが、宅配便の追跡の主役が通過点の読み取りであることは、この費用の釣り合いが変わるまで動きません。