世界の QR コード事情 - 日本と海外の使われ方の違い
中国 - QR コード決済の先進国
中国は世界で最も QR コード決済が普及している国です。WeChat Pay と Alipay の 2 大サービスが日常生活に深く浸透しており、屋台の支払いから家賃の振込まで、ほぼすべての金銭のやり取りが QR コードで行われています。
日本では現金と QR コード決済が共存していますが、中国の都市部では現金を受け付けない店舗も珍しくありません。物乞いが QR コードを掲げているという話もあるほど、社会の隅々まで浸透しています。
インド - 国策としての QR コード決済
インドでは政府主導の統一決済インフラ UPI (Unified Payments Interface) が普及し、QR コード決済が急速に広がっています。Google Pay、PhonePe、Paytm などのアプリが UPI に対応しており、小さな露店でも QR コード決済が使えます。
2016 年の高額紙幣廃止をきっかけにキャッシュレス化が加速し、銀行口座を持たない層にもモバイル決済が届くようになりました。QR コードが金融包摂 (Financial Inclusion) の手段として機能している好例です。
欧米 - コロナ禍で急速に普及
欧米では QR コードの普及が日本やアジアに比べて遅れていましたが、コロナ禍で状況が一変しました。非接触のニーズから、レストランのメニュー、イベントのチケット、ワクチン接種証明書に QR コードが採用され、一気に日常に浸透しました。
決済面では、Apple Pay や Google Pay などの NFC 決済が主流であり、QR コード決済はアジアほど普及していません。QR コードは主に「情報へのアクセス手段」として使われている点が、アジアとの大きな違いです。
アフリカ - モバイルマネーとの融合
アフリカでは、銀行インフラが未整備な地域でモバイルマネー (M-Pesa など) が普及しており、QR コードはその決済手段の 1 つとして活用されています。フィーチャーフォン (ガラケー) 向けの USSD コードと、スマートフォン向けの QR コードが共存しています。
農業分野では、種子や肥料のパッケージに QR コードを印刷し、農家が栽培方法や使用量の情報にアクセスできる取り組みも進んでいます。識字率が低い地域では、QR コードから動画で情報を伝える方法が効果的です。
日本 - 発祥国ならではの多様な活用
QR コードの発祥国である日本は、決済だけでなく多様な場面で QR コードが使われています。eL-QR による税金納付、マイナンバーカードとの連携、災害時の安否確認、神社仏閣のお賽銭など、行政・文化・日常生活に幅広く浸透しています。
一方で、QR コード決済のシェアは中国やインドほど圧倒的ではなく、現金、クレジットカード、交通系 IC カードとの共存が続いています。「選択肢の 1 つ」として定着しているのが日本の特徴です。